サラダ味
どうも、小児集中治療医です。
日々の臨床業務をこなしながら浮かんできた、臨床上の疑問をリサーチクエスチョンとして定式化し、研究・発表して医療に貢献する、これぞ臨床医の醍醐味です。
というわけで、そろそろ長年の疑問を解決すべく、研究してみたいと思います。
長年の疑問。
サラダ味、ってなんなの
ソフトサラダせんべいなどでおなじみの”サラダ味”。よくよく考えてみると、さっぱり意味が分かりません。
まずはサラダ味に定義があるのかを調べます。既に調べられていたら研究する価値はありません。こんなときは成書、大辞林(第三版)を紐解いてみましょう。
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残念ながら”サラダ味”という項目はありませんでした。気を取り直して、”サラダ”を調べます。
「サラダ」
生野菜をドレッシングやマヨネーズであえたものを基本に、果物やゆでた卵・ジャガイモやハム・肉などを加えた料理。サラド。
サラド。って。当たり前のように書かれても、何なの、サラ”ド”。方言?新たな疑問が浮かびましたが、この疑問は次の世代に託します。我々臨床家には時間がありませんから。
味ですから、”そのもの”でなくてよいわけです。となると、定量化できるかどうかがポイントになります。我々はどれくらいサラダ味だったらサラダ味と思えるのか。
ここは以下のようなスケール(0~10)を使って評価するのがよさそうです。
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
10は”サラダ”そのものにしましょう。10に近づくにつれ、真のサラダに味が近づくことになります。とりあえず、シーザーサラダが良いでしょう。シェフの気まぐれサラダとかはよくないです。
問題は0を何にするかです。サラダとは真逆なものがよいのか?まったく味がしないものが良いのか?
全く味がしないものの代表は空気や水ですが、人によっては「私evian派なのよね」とか「高尾山の山頂は空気がうまい!」とか言ったりするのであてになりません。
完全なる無味。涅槃の境地。
非常に悩ましいのですが、今まで食べた中で最も味がしなかったものが”フグの刺身”だったので、0は”フグの刺身”ということにします。これには大多数の人の賛同を得られることはもはや自明の理と思いますが、先行研究はないので、世界中の小児集中治療医にアンケート調査も行いましょう。
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
フグ刺し シーザーサラダ
もう少しでスケールができそうです。後は中間の5を何にするか?
よく見ると、コース料理のようにも見えます。
フグの刺身とシーザーサラダの間に提供するもの。
ここはお口直しの柚子シャーベット一択で行きたいと思います。
0 5 10
フグ刺し 柚子シャーベット シーザーサラダ
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ふう、これが北米やオーストラリアの小児集中治療医が理解できるギリギリの線でしょう。世界基準の研究をするのは大変です。
いきなり多施設研究は無理なので、単施設PICUの医師、看護師10人ずつくらいに、入念な歯磨き後、ソフトサラダせんべいを食べてもらって、0-10のどこに近いかを「せーの」で指差ししてもらうパイロット研究をしたいと思います。往々にして医師と看護師は意見が異なりますし、0=フグの刺身を指さされた時のことも考えて、平均値ではなく中央値を見たいと思います。
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そろそろ現実逃避をやめて論文完成とアブストラクト作成にとりかかかります。
以上です。